HYPNOTIZE 震えて考察シリーズ|第3回
初めての方はこちらへどうぞ→#セイレーンが誘う深淵で全てが始まる・XG hypnotize震えて考察①|JURIA、JURIN、CHISA、HINATAは誰なのか?
深海の意味は?
一つには、催眠術で心の奥深くまで魅了するというコンセプトから。その深さを視覚化するため。
もう一つは、ユングの考え、人類が共通して持つ1番奥底の無意識(集合的無意識)の、計り知れないその深度を表現するため。
その深さを描く深海であり深淵。
このMVで描かれるのは、我々みんなの内側の奥深くにある無意識の領域での出来事。
その深度は計測不能であり、その実体は人知の及ばない、未知の領域。
そこで最後に、XGが怪物に催眠術をかける。
なぜ怪物が、催眠術をかけられる対象なのか、この謎を辿って行きましょう。
怪物は何を象徴しているのか
この怪物も1人何役もしています。
そのうちの、スポットライトが当たっていない役は、影として主役を支える相手役。
スポットライトの効果によって、主役は誰か、神話の何の物語か、を分かりやすくしています。
この怪物がスポットライトを浴びている役、それがこの怪物の主たる役。
それは、HARVEYと一緒のシーン。
この時の怪物くん、美しいHARVEYよりも照明が明るい。
怯えて閉じ込められている怪物の役。ミノタウロスです。
ミノタウロスは、ラビリンスに閉じ込められた、半人半獣の怪物です。(HARVEYはその母。ヒプノタイズ考察②参照)
ユング的に、ミノタウロスは恐怖や不安の象徴として考えられています。
私達の中の、恐れているもの、不安、恐怖、抑圧してるもの、ミノタウロスはそういったものの象徴です。
また、荒ぶる生存本能の象徴でもあります。
ちなみに、何となく先ほどは神々の良い特徴を書きましたが、ギリシャ神話の神々はとんでもない理不尽な面もあります。
無意識のあらゆる性質は、このようにコインの裏表のようなもの。
ミノタウロスの相反するように見える象徴〝恐怖〟も〝生存本能〟も、根本は繋がっている。
体まで影響する恐怖や不安は、心が全力で危険を叫んでいるから。この拒絶反応は、ミノタウロスが持つ自分を守ろうとする野生の生存本能。ミノタウロスが自分を守ろうとして叫ぶメッセージ。
なぜ怪物が催眠術をかけられているのか?
MV最後のシーン。
漆黒の背景は宇宙のよう。
かつては医療の場(CHISAの場面で描かれた医療を象徴する空間)だったのか、医療用ライトだけが宇宙船のように浮かんでいます。
そこにはXGみんながいて、CHISAが催眠術をかけ終えたようで、全員で眠るミノタウロスを見ています。
ヒプノタイズ考察①で触れたように、CHISAは医術(ヒーリング)を司る神アポロン。医療用ライトが象徴するのは医術の場。
つまり、医術の神が医療の場で施す催眠術ということ。
怪しげなマジックとしての催眠術ではなく、傷ついた心を深く癒すための医術的な催眠〝ヒプノセラピー〟によって、ミノタウロスを深く癒したシーンと受け取れます。
なぜ怪物が催眠術をかけられているのか、ユングの視点からも、その眠りの意味を見てみましょう。
ミノタウロスがアポロンによって眠らされているということは、恐怖や不安といった激しいエネルギーが暴走して自分自身を傷つけないように、大いなる知恵が癒しによって深い休息を与え鎮めている、ということ。
恐怖や不安を否定して、殺すのではなく。
自分の心と体を守るために、癒しによって、優しく休息を与えた。
ミノタウロス=悪、ではなく、ミノタウロス=力強い生命力。生存本能の反応である恐怖や不安は、自分自身を一生懸命守ろうとしてくれている味方で、自分の一部だから。
取り除くのではなく、エネルギーが暴走して自分自身を傷つけないように、優しい癒しとなる催眠術をかけた。自分の一部だということを受け入れ伝えながら。
最後のシーンは、この受容を描いている気がします。
かつての医療の場は医療用ライトだけが、漆黒の宇宙のような背景の中に浮かび、ミノタウロスは、もはや闇の一部。XGみんなも、黒い闇に同化し始めるかのよう。
無意識の闇の中で、全ての境界線が消え、すべてが一つに溶け合い、自分の一部として一体化してゆく受容の瞬間の景色。
スポットライトが導くもの
催眠術かけ終えたXGと眠るミノタウロス。
ミノタウロスは深く癒され、見つめられ
見守られている。
最後のシーンの照明が、当然といえば当然ですが、ミノタウロスよりもXGに当たっています。
そしてXG7人の中でも、濃い影がなく、お顔全体が見えるようライティングされているのは、CHISAアポロンです。
もう一つ、影がないのは、HINATAの持っているライト。
XG全員、濃い影などなく輝いていてくれても良いのに、影が濃いのは、この無意識の闇に全てが一体化していくという受容の景色の表現のため。(この漆黒シーンは、無意識の底知れぬ深度を表すとともに、もはや宇宙であることを示唆しているよう)
そして、影が濃いことで、陰りのないCHISAアポロンとHINATAのライトにこそ、目が向く。
ミノタウロスの時も鍵となったのは、〝照明の明かるさの差〟でした。
どうやらライトの差は、主題の在り処を照らしているようです。
ライトが照らす主題は、アポロン。
つまり、これは、自分の内側に本来備わっている強力な癒やす力に、スポットライトがあたり、主題があるということ。
私達の内側には、強力な癒やす力が備わっている。
恐怖や不安も自分の一部であり、全力で自分を守ろうとしている。
それらは、命の本質、生きようとするエネルギー。
それを否定して殺すのではなく、自分を守ろうとしている本質に目を向ける。
そんなアポロンの癒しのメッセージを受け取った気持ちです…
そして、恐怖や不安は、自分の一部であるミノタウロスが、自分を守ろうと必死に叫ぶメッセージと思うと、恐怖は恐怖としてあるとしても、ミノタウロスの叫びを否定しようと思わなかったり、自分の内側の一部だから恐れずに、わかったよ怖かったねと愛おしい目で見れたり。そうした内側との丁寧な対話が始まる。
なんという強い癒し。
本質に目を向けるという視点の転換が、元々備わっているはずだった大きな癒しを呼び醒まし、私たちを守る。
これこそが、アポロンの癒し。
圧倒的な癒しと救いのメッセージへの感動、そして、心からの感謝の思いでいっぱいです。それに、私たちの心の奥底でギリシャ神話XGが見守ってくれていると思うと、愛おしくて幸せな気持ち。そんな余韻の中、ふと、気づく。
なんだかキーワードが出てきていたと。
〝守る〟〝癒し〟
そういえば楽曲の歌詞もそうなんです…
まだまだMVの謎は残っていますが、キーワードに導かれるまま、楽曲歌詞を見てみましょう。


